立法裁量と過程の統制 | |||
(現代憲法研究 Y) | |||
山本真敬 著 | |||
A5判上製本 366頁 | |||
ISBN | 978-4-86031-176-6 | ||
価格 | 本体6500円+税 | ||
発刊 | 2022年3月 |
内容 立法者の制度形成に対する裁量の統制として注目される「判断過程統制」論を検討する。 参議院「1票の較差」訴訟2004(平成16)年最高裁判決「補足意見2」で登場した「判断過程統制」論は,行政裁量の領域において定着しつつあった手法を立法裁量の統制に応用するものとして憲法学において期待を集めたが,最高裁ではその後,この手法は立法者の「真摯な努力」に着目する議論へと変容した後に姿を消してゆく。本書は,これら手法を近時の立法者の「努力」の評価という問題をも含めて丹念に追うとともに,判断過程統制として議論されるものを「違憲の主観化」という問題をはらむ時宜適合審査型と行政裁量の判断過程統制に類似した考慮要素審査型に分類し,類似性が指摘されるドイツ連邦憲法裁判所における「主張可能性の統制」や行政裁量の統制論との比較検討を行い,それぞれの理論的含意と限界を明らかにする。 |
目次 →細目次 |
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はじめに | ||
第1部 立法裁量の「判断過程統制」論の展開 | ||
第1章 藤田宙靖裁判官の「判断過程統制」の検討 | ||
序 | ||
第1節 藤田裁判官の「判断過程統制」の展開 | ||
第2節 藤田裁判官の「判断過程統制」の検討 | ||
まとめ | ||
第2章 最高裁における立法裁量の「判断過程統制」論,その後 | ||
序 | ||
第1節 衆院に関する判例 | ||
第2節 参院に関する判例 | ||
第3節 判例における立法裁量の「判断過程統制」論の総括 | ||
まとめ | ||
第3章 学説における立法裁量の「判断過程統制」論 | ||
序 | ||
第1節 2004年判決前とその直後の学説の理解 | ||
第2節 考慮要素審査型 | ||
第3節 時宜適合判断審査型 | ||
第4節 検討すべき課題 | ||
補章 近時の「1票の較差」訴訟最高裁判決と立法者の「努力」 | ||
序 | ||
第1節 各最高裁判決多数意見の概要 | ||
第2節 各判決多数意見の検討 | ||
第3節 各判決少数意見における立法者の「努力」 | ||
まとめ | ||
第2部 ドイツ連邦憲法裁判所における「主張可能性の統制(Vertretbarkeitskontrolle)」 | ||
第4章 ドイツ連邦憲法裁判所における「主張可能性の統制」の定式化──共同決定法判決まで | ||
序 | ||
第1節 3つの先例 | ||
第2節 定式化──共同決定法判決 | ||
まとめ | ||
第5章 ドイツ連邦憲法裁判所における「主張可能性の統制」の展開 | ||
序 | ||
第1節 比例原則内部での立法者の予測に対する統制として主張可能性の統制が用いられたもの | ||
第2節 立法者の予測に対して主張可能性の統制がなされると同時にそれとは別に実体的審査もなされたもの | ||
第3節 立法者による事実の確定・事実の評価に対して主張可能性の統制が用いられたもの | ||
第4節 立法者の予測および事実確定双方──老人介護法判決(2002年10月24日:BVerfGE 106, 62) | ||
第5節 「不確定憲法概念」の解釈── Rastede決定(1988年11月23日:BVerfGE 79, 127) | ||
まとめ | ||
第6章 「主張可能性の統制」の総括的検討 | ||
序 | ||
第1節 3段階の統制尺度論の展開 | ||
第2節 主張可能性の統制の総括的検討 | ||
第3節 主張可能性の統制と「違憲の主観化」 | ||
まとめ | ||
(表)主張可能性の統制に関する判例 | ||
第3部 立法裁量の「判断過程統制」論の行方 | ||
第7章 「真摯な努力」論の行方──あるいは立法者の「努力」について | ||
序 | ||
第1節 立法者の「努力」の評価と「違憲の主観化」 | ||
第2節 「1票の較差」訴訟で公選法の合憲性を判断する際に立法者の「努力」を評価することは許されるか? | ||
第3節 「真摯な努力」論の行方 | ||
結論 | ||
第8章 考慮要素審査の行方 | ||
序 | ||
第1節 行政裁量の「判断過程統制」論 | ||
第2節 2つの「判断過程統制」 | ||
第3節 考慮要素審査の行方 | ||
結論 | ||
おわりに | ||
参考文献一覧 | ||
あとがき | ||
判例索引 |
著者紹介(データは発刊当時) |
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山本 真敬(やまもと まさひろ) | |||
新潟大学法学部准教授 | |||
1985年 兵庫県生まれ | |||
2009年 早稲田大学法学部卒業 | |||
2016年 早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学 | |||
2019年 早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程修了 博士(法学) | |||
2014年 早稲田大学法学部助手 | |||
2016年 下関市立大学経済学部専任講師 | |||
2019年 同准教授 を経て,2020年,現職。 |