山本真敬 著 / 立法裁量と過程の統制−細目次
はじめに
T.本書の課題
U.本書の構成
第1部 立法裁量の「判断過程統制」論の展開
第1章 藤田宙靖裁判官の「判断過程統制」の検討
第1節 藤田裁判官の「判断過程統制」の展開
T.藤田裁判官の「判断過程統制」の登場
1.2004年判決「補足意見2」
2.若干の検討
U.藤田裁判官の「判断過程統制」の展開
1.2006年判決および2009年判決の藤田補足意見
2.2007年判決藤田意見
3.小括
第2節 藤田裁判官の「判断過程統制」の検討
T.藤田裁判官の「判断過程統制」の機能
1.考慮要素の数の増加と論証の綿密化
2.多数意見の厳格化?
U.藤田裁判官の「判断過程統制」の課題
まとめ
第2章 最高裁における立法裁量の「判断過程統制」論,その後
第1節 衆院に関する判例
T.2011年判決における田原反対意見
U.2013年判決および2015年判決における大橋反対意見
1.2013年判決
2.2015年判決
3.若干の検討
第2節 参院に関する判例
T.2012年判決
1.国会による説明の要求(竹内意見・須藤反対意見)
2.事後是正義務(田原反対意見)
3.「判断過程統制」(大橋反対意見・須藤反対意見)?
U.2014年判決における大橋反対意見
第3節 判例における立法裁量の「判断過程統制」論の総括
T.「一元的」枠組みとしての藤田裁判官の「判断過程統制」の消失
1.「一元的」枠組みと「二元的」枠組み
2.藤田裁判官の「判断過程統制」の消失
U.「真摯な努力」論の特徴
1.「真摯な努力」とその基準
2.多数意見への接近と差異
3.判決類型の選択による「違憲の主観化」
まとめ
第3章 学説における立法裁量の「判断過程統制」論
第1節 2004年判決前とその直後の学説の理解
T.2004年判決前の状況
U.2004年判決直後
第2節 考慮要素審査型
T.小山剛
U.渡辺康行
V.駒村圭吾
W.高橋和之
第3節 時宜適合判断審査型
T.工藤達朗
U.岡田俊幸
V.櫻井智章
W.大石和彦
X.山本龍彦
第4節 検討すべき課題
T.「判断過程統制」の根拠
U.「判断過程」とは何を指すか
V.「違憲の主観化」について
W.検討の素材
補章 近時の「1票の較差」訴訟最高裁判決と立法者の「努力」
第1節 各最高裁判決多数意見の概要
T.2018年判決
U.2017年判決
V.2020年判決
第2節 各判決多数意見の検討
T.参院(2017年判決・2020年判決)
1.2017年判決
2.2020年判決
U.衆院(2018年判決)
V.2つの審査手法の使い分けによる「対話」?
第3節 各判決少数意見における立法者の「努力」
T.2018年判決
U.2017年判決
V.2020年判決
W.小括
まとめ
第2部 ドイツ連邦憲法裁判所における「主張可能性の統制(Vertretbarkeitskontrolle)」
第4章 ドイツ連邦憲法裁判所における「主張可能性の統制」の定式化──共同決定法判決まで
第1節 3つの先例
T.製粉所法決定(1968年12月18日:BVerfGE 25, 1)
1.関係する基本権と審査の手法
2.製粉所法の目的・性格
3.立法者の予測とその統制
4.比例原則による審査──適合性・必要性・受忍可能性
U.保護法決定(1971年3月9日:BVerfGE 30, 250)
1.保護法の目的・性格と立法者の予測の統制
2.適合性の有無
3.過剰禁止の有無
V.製粉所構成法決定(1975年3月19日:BVerfGE 39, 210)
1.職業遂行の自由の制約の統制と立法者の予測の統制
2.製粉所構成法の目的と立法者の予測
3.適合性・必要性・受忍可能性
W.若干の検討
1.判例上の位置付け
2.判断枠組み
3.立法者の予測とその統制
X.小括
第2節 定式化──共同決定法判決
T.共同決定法判決(1979年3月1日:BVerfGE 50, 290)
1.共同決定法の構造と憲法判断の手法
(1) 共同決定法の構造
(2) 共同決定法の効果と立法者の予測の統制
2.審査基準としての個別の基本権と立法者の形成の自由
3.共同決定法は所有権(基本法14条1項)を侵害しない
(1) 所有権保障の意義と所有権制限に対する裁判所の統制
(2) 持分所有者の所有権侵害の有無
(3) 会社の所有権侵害の有無
4.共同決定法は結社の自由(基本法9条1項)を侵害しない
(1) 結社の自由保障の意義
(2) 大規模資本会社における人格的要素と他律的決定
(3) 共同決定法による結社の自由侵害の有無
5.共同決定法は職業の自由(基本法12条1項)・経済的領域での行為自由(同2条1項)を侵害しない
(1) 職業の自由侵害の有無
(2) 経済的領域での行為自由侵害の有無
6.共同決定法は団結の自由(基本法9条3項)を侵害しない
(1) 団結の自由保障の意義
(2) 共同決定法による団結の自由侵害の有無
U.検討
1.「立法者の予測」の適用領域の一般化
2.適合性(目的有用性)から相当性(制約の強度)へ
3.「手続の要請」の具体的構造
(1) 共同決定法の「立法過程」
(2) 若干の検討
(3) 手続統制なのか内容統制なのか
4.事後是正義務との結合
まとめ
第5章 ドイツ連邦憲法裁判所における「主張可能性の統制」の展開
第1節 比例原則内部での立法者の予測に対する統制として主張可能性の統制が用いられたもの
T.国勢調査法判決(1983年12月15日:BVerfGE 65, 1)
1.判旨
2.検討
U.費用抑制補完法決定(1984年10月31日:BVerfGE 68, 193)
1.判旨
2.検討
V.1984年予算附属法決定(1987年4月8日:BVerfGE 75, 78)
1.判旨
2.検討
W.家族呼寄せ決定(1987年5月12日:BVerfGE 76, 1)
1.判旨
(1) 判断枠組み
(2) 8年間の滞在要件の合憲性
(3) 3年間の婚姻存続要件の合憲性
2.検討
X.ハシシ決定(1994年3月9日:BVerfGE 90, 145)
1.判旨
2.検討
Y.禁絶施設収容決定(1994年3月16日:BVerfGE 91, 1)
1.判旨
2.検討
第2節 立法者の予測に対して主張可能性の統制がなされると同時にそれとは別に実体的審査もなされたもの
T.障碍者法判決(1981年5月26日:BVerfGE 57, 139)
1.判旨
2.検討
U.第2 次堕胎判決(1993年5月28日:BVerfGE 88, 203)
1.判旨
2.検討
V.少年行刑判決(2006年5月31日:BVerfGE 116, 69)
1.判旨
2.検討
W.法定疾病保険競争強化法判決(2009年6月10日:BVerfGE 123, 186)
1.判旨
2.検討
X.Garzweiler判決(2013年12月17日:BVerfGE 134, 242)
1.判旨
2.検討
第3節 立法者による事実の確定・事実の評価に対して主張可能性の統制が用いられたもの
T.「安全な第三国」判決(1996年5月14日:BVerfGE 94, 49)
1.判旨
2.検討
U.「安全な出身国」判決(1996年5月14日:BVerfGE 94, 115)
1.判旨──多数意見
2.多数意見の検討
3.少数意見とその検討
(1) Limbach裁判官の少数意見
(2) Bockenforde裁判官の少数意見
(3) 検討
第4節 立法者の予測および事実確定双方──老人介護法判決(2002年10月24日:BVerfGE 106, 62)
T.判旨
U.検討
第5節 「不確定憲法概念」の解釈── Rastede決定(1988年11月23日:BVerfGE 79, 127)
T.判旨
U.検討
まとめ
第6章 「主張可能性の統制」の総括的検討
第1節 3段階の統制尺度論の展開
T.3段階の統制尺度論の放棄?
U.現状
第2節 主張可能性の統制の総括的検討
T.対象領域,事後是正義務,そして違憲判断の不在
U.実体的審査との関係
V.「単なる主張可能性の統制」と「主張可能性の統制」
第3節 主張可能性の統制と「違憲の主観化」
T.「手続の要請」の振れ幅
1.判例を振り返る
2.検討
U.様々な主張可能性の統制と「違憲の主観化」
1.「手続の要請」と「違憲の主観化」
(1) 「違憲の主観化」の概念
(2) 立法者の行為に着目する主張可能性の統制と「違憲の主観化」
2.事実確定と「違憲の主観化」
(1) 老人介護法判決における審査
(2) 事実確定の審査は「違憲の主観化」か?
V.日本の立法裁量の「判断過程統制」論との比較
1.考慮要素審査との比較
2.時宜適合判断審査(「真摯な努力」論)との比較
W.補論:「手続的な入念さの要請」?
1.裁判所の統制対象は法律か立法者か
2.「手続的な入念さの要請」?
まとめ
(表)主張可能性の統制に関する判例
第3部 立法裁量の「判断過程統制」論の行方
第7章 「真摯な努力」論の行方──あるいは立法者の「努力」について
第1節 立法者の「努力」の評価と「違憲の主観化」
T.「違憲の主観化」という現象
1.「違憲の主観化」の概念
2.「違憲の主観化」の帰結──「違憲」概念の動揺
U.立法者の「努力」を評価する3類型
1.第1の類型:全面的な「違憲の主観化」──藤田裁判官の「真摯な努力」論
2.第2の類型:判決類型論から生ずる「違憲の主観化」──大橋裁判官の「真摯な努力」論
3.第3の類型:判決類型論ではあるが「違憲の主観化」ではない──鬼丸裁判官の「努力」論
V.「違憲の主観化」を行う「真摯な努力」論の問題点
1.「違憲の主観化」による憲法の実体的規範内容の相対化
(1) 憲法の実体的規範内容の相対化
(2) 第1類型について
(3) 第2類型,あるいは合理的期間・相当期間論について
(4) 補論:立法者の義務違反としての違憲概念について
2.立法者の「努力」を評価する場合の課題
(1) 「真摯な努力」の基準
(2) 実際上の困難
(3) 立法者の「努力」の多重評価?
W.小括
第2節 「1票の較差」訴訟で公選法の合憲性を判断する際に立法者の「努力」を評価することは許されるか?
T.裁量と形成の自由
1.投票価値の平等に係る立法裁量の性質
2.裁量と形成の自由
U.Forsthoffの「選挙権に関する規範」論
1.措置法律とErmessen
2.「選挙権に関する規範」とErmessen
(1) 連邦憲法裁判所の2つの判例
(2) Forsthoff の見立てとその検討
V.「1票の較差」訴訟で公選法の合憲性を判断する際に立法者の「努力」を考慮することは許されるか?
1.規範内容としての「現実化」と裁量統制のあり方
2.「1票の較差」訴訟で公選法の合憲性を判断する際に立法者の「努力」を評価することは許されない
W.小括
第3節 「真摯な努力」論の行方
T.ドイツにおける判決類型論
1.法律が違憲の場合の原則──無効宣言判決
2.その他の判決類型
(1) 憲法不適合宣言と立法者への指示
(2) アピール判決と立法者への指示
U.判決類型論としての「真摯な努力」論の可能性?
結論
第8章 考慮要素審査の行方
第1節 行政裁量の「判断過程統制」論
T.考慮要素審査
1.形式的考慮要素審査
2.実質的考慮要素審査
U.判断過程合理性審査
V.小括
第2節 2つの「判断過程統制」
T.「過程」の統制の根拠
1.当初の行政法学の議論
(1) 遠藤博也
(2) 原田尚彦
2.近時の行政法学の議論
(1) 山本隆司
(2) 仲野武志
(3) 須田守
U.「判断過程」の意義と「過程」統制の帰結
1.「判断過程」の意義
(1) 法規命令と「判断過程」(その1)
(2) 法規命令と「判断過程」(その2)
(3) 検討
2.「過程」統制の帰結
V.2 つの考慮要素審査の異同
1.共通点
2.相違点
(1) 「法の基準」の内実と考慮要素
(2) 「過程」統制の根拠
(3) 「判断過程」の意義,あるいは「過程」と「結果」の関係
(4) 「根拠付け義務」──「理由提示」の対応物?
W.小括
第3節 考慮要素審査の行方
T.判例上の手掛かり
U.考慮要素審査の行方
1.考慮要素の導出(規範的側面)
2.考慮要素を基礎付ける事実(事実の側面)
結論
おわりに
参考文献一覧
あとがき
判例索引


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