財産権の憲法的保障 | |||
(現代憲法研究 X) | |||
平良小百合 著 | |||
A5判上製本 286頁 | |||
ISBN | 978-4-86031-148-3 | ||
価格 | 本体6150円+税 | ||
発刊 | 2017年12月 |
内容 法律によってその内容が形成される財産権に,憲法上保障が及ぶとはどういうことかという問題意識の下,ドイツの議論を精緻に検証し得られた知見を基に,日本における財産権の憲法的保障論の再構築を試み,また,財産権の保障構造に適合的な裁判所による審査がどのように行われるかについても考察する。 本書は,法制度を前提とする財産権の保障において,憲法が立法者に法律による内容形成を委託しているにもかかわらず,同時にその内容形成に憲法による拘束が及ばなければならないという「拘束のパラドックス」という問題と対峙する。それに際し鍵となる,法律から独立した「憲法上の財産権概念」につき,ドイツの学説・連邦憲法裁判所の判例が示した思考を整理,モデル化,さらに,憲法裁の違憲審査の枠組みの変遷・実質を丹念に追う。それらを基に終章では,従来の日本の学説における「原形」を探求する立場を克服するべく,保護領域としての財産権概念は憲法上自立的には観念せずに,「憲法上の考慮要素」が内容形成・既得の権利に関する立法の統制を行いうるものであるという立場を示し,最高裁判例との整合をも検討する。 |
目次 →細目次 |
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はじめに | |||
序章 日本の財産権論の問題状況 | |||
第1節 財産権と法制度 | |||
第2節 既得の権利が制限される場合 | |||
第3節 憲法上の「原形」の探求 | |||
第1章 ドイツにおける「憲法と私法」論――財産権の憲法的保障の基礎理論 | |||
第1節 憲法から私法への影響 | |||
第2節 私法の独自性 | |||
第2章 基本法下における財産権保障の概要 | |||
第1節 拘束のパラドックス | |||
第2節 財産権保障の全体像 | |||
第3章 憲法上の財産権概念 | |||
第1節 連邦憲法裁判所による判示 | |||
第2節 学説による財産権保障のモデル | |||
第4章 連邦憲法裁判所による財産権保障の展開 | |||
第1節 衡量審査の確立まで | |||
第2節 衡量審査の展開──比例原則審査 | |||
第5章 財産権の審査枠組みの理論的分析 | |||
第1節 法制度保障審査の帰趨 | |||
第2節 比例原則審査の構造 | |||
第6章 財産権の現存保障 | |||
第1節 財産権の現存保障の基礎 | |||
第2節 信頼保護原則の顧慮 | |||
終章 日本における財産権の憲法的保障 | |||
第1節 財産権の内容形成の統制 | |||
第2節 最高裁判所判例における審査枠組み | |||
おわりに | |||
あとがき | |||
事項索引 | |||
判例索引 | |||
著者紹介(データは発刊当時) |
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平良 小百合 (たいら さゆり) | ||
1985(昭和60)年生まれ | ||
2007(平成19)年 九州大学法学部卒業 | ||
2012(平成24)年 九州大学大学院法学府公法・社会法学専攻博士後期課程 単位取得退学 | ||
九州大学法学部・大学院法学研究院助教,神戸大学法学部・大学院法学研究科特命講師を経て,現在,山口大学経済学部・大学院経済学研究科講師 | ||
博士(法学)〔2013(平成25)年,九州大学〕 |