陶久利彦 編著 / 性風俗と法秩序−細目次
序章陶久利彦
1.本書の成り立ち
2.性風俗と法秩序への接近方法
3.論文内容の概観
4.今後の課題

売春法制と性風俗法制の交錯
 −個室付浴場業規制の法的性質をめぐって岩切大地
T はじめに
U 戦後の売春法制
1.売春法制の沿革
2.戦後売春法制の趣旨
V 戦後の性風俗法制
1.風営法制定の前後
2.風営法の沿革
W 売春法制と性風俗法制の交錯
1.個室付浴場
2.風営法の規制対象へ
3.性的サービスと風営法
4.売春と風営法
5.売春法制と風俗法制
X 結びに代えて

いわゆるラブホテルに対する立法による規制荒木 修
T 初めに−いわゆるラブホテルに対する規制の現状と問題の所在
U ラブホテルに対する規制−特に風営法による規制の拡がりを歴史的に見ていく
1.公衆衛生行政の登場−警察権の分散
2.風営法による規制を受ける対象範囲の拡大
3.「建築」規制の可能性
4.風営法による規制の特徴−行政警察からの限界
V いわゆる既得権
1.法的な根拠の曖昧さ
2.風営法における相場
W 終わりに

買春不処罰の立法史宮川 基
T 問題の所在
U 売春防止法の沿革
V 買春処罰規定を設けることができなかった原因
W 買春処罰のための理論的考察
X 結語

性風俗営業と人間の尊厳玉蟲由樹
T はじめに
U 人間の尊厳侵害=良俗違反という図式
V 「自分自身からの尊厳保護」?
W 「主体性志向的」人間の尊厳と「価値志向的」人間の尊厳
X 結びにかえて

売春規制における「メイド・イン・カナダ」モデルと憲法上の問題
 −2013年ベッドフォード事件最高裁判所判決とその後の展開手塚崇聡
T はじめに
U 2013年ベッドフォード事件最高裁判決とその意義
1.事件の概要
2.カナダ最高裁判決
3.最高裁判決の意義−憲章第7条の問題
V 「メイド・イン・カナダ」モデルの採用
1.ベッドフォード事件最高裁判決後の議論
2.PCEPAの目的とその概要
W 「メイド・イン・カナダ」モデルの検討と憲法上の問題
1.PCEPAに対する評価
2.「メイド・イン・カナダ」モデルとベッドフォード事件最高裁判決との相反
X おわりに

売春規制と自己決定
 −アメリカにおける売春規制の理由大林啓吾
T 売春規制の歴史的沿革
1.赤線地帯
2.白人奴隷の噂
3.マン法の成立
4.パブリックニューサンス
5.限定的に売春を認めている州
U 売春規制とプライバシー権の対立をめぐる裁判
1.Texas v. Lawrence判決の射程
2.州裁判所の判断
3.連邦裁判所の判断−United States v. Sun Cha Thompson
V プライバシー権と保護法益
1.裁判例の問題
2.自由と尊厳をめぐる対立
3.保護法益の問題
4.折衷案としての公私区分
後序

修正1条の空隙
 −アメリカにおけるわいせつ表現の規制根拠菅谷麻衣
T Roth判決の≪……≫
U Chaplinsky判決に対する理解−Roth判決以前
1.Chaplinsky判決に対する当初の理解
2.Beauharnais判決におけるChaplinsky判決の継承
3.Beauharnais判決の残した課題
V ≪……≫の意味
1.Roth事件連邦最高裁判決
2.Roth判決の脚注18・19−わいせつ表現と「明白かつ現在の危険」
3.Roth判決の口頭弁論における議論
W 今後の課題

売春犯罪化批判論にみるMartha C. Nussbaumの政治的リベラリズム佐々木くみ
T 政治的リベラリズムと売春
U 同意−自律性
V 危害
W スティグマ
X 脆弱性

モダンガールの百貨店的主体性吉良貴之
T リベラルな主体像を論じるために
1.リベラル・コミュニタリアン論争以後の主体性論の可能性
2.現代フェミニズムの困難
3.権利主体性を形作る領域
4.限界の自覚と「権利を持つ権利」
5.植民地主義の暴力と視線
U モダンガールの主体性
1.植民地的近代の視覚レジーム
2.「あいだ」を生きるモダンガールと「メビウスの輪」
3.「京城のモダンガール」の中途半端さ
4.女性身体の断片化,あるいはポルノグラフィ
5.モダンガールの百貨店的主体性
6.メビウスの輪は閉じているか?
V まとめ

売買春の法的規制と根拠づけ陶久利彦
T はじめに
U 売買春に関する法的対応のあり方
1.法的評価・法的規制の多様性
2.ドイツの売春法改正とその後
3.我が国の売買春対応策−建前と本音の組み合わせ
V 売春の理念的評価
1.「人間の尊厳」理念からの売春批判
2.性道徳違反という売春批判
3.功利論的評価=特定の危害
4.自己決定権論による売春擁護
W 結び

同性愛と法
 −ドイツにおける変遷について渡邉泰彦
T はじめに
U ワイマール共和国まで
V ナチス時代
W 西ドイツ
1.判例
2.1969年刑法改正
3.1973年刑法改正
X 東ドイツ
1.1949年刑法典
2.東ドイツ最高裁判所1987年8月11日判決
Y ドイツ統一
Z 女性間の同性愛行為
[ 刑法から私法へ
\ 最後に

アメリカにおける風俗統制と権利獲得運動
 −ストーンウォール事件と憲法論志田陽子
はじめに
T アメリカの同性愛者権利運動のメインストリーム
1.事件と裁判
2.憲法理論の視角からの整理
U 抜け落ちた問題系−風俗の領域への公権力の関心と自律
1.「風俗」へのニーズに読み取るべきもの
2.「犯罪」のスティグマが意味したもの
V 抜け落ちた問題系の憲法理論化の手がかり
1.集会・結社の概念と親密圏の再定義
2.《場》ないし《空間》の再構成
3.《逸脱の政治》とステレオタイプ
おわりに

「ダンス」から「特定遊興飲食店」営業規制へ新井 誠
 −風営法秩序のこれまでと今後の課題
はじめに
T 改正風営法以前におけるダンス営業規制の構造と問題点
1.従来の構造
2.問題点
3.憲法的諸論点
U 風営法改正に至る2つの動き
1.法改正運動と政府による法改正
2.無許可営業をめぐる刑事事件−2つの下級審判決
V 法改正後の状況
1.改正風営法の内容
2.旧3号営業をめぐる改正風営法の意義
W 「遊興」規制の問題点
1.「遊興の自由」論の再考の必要性
2.風営法における「遊興」とは何か−言葉の不明確性
3.遊興を「する」と「させる」の区別の困難性
X (深夜の)「特定遊興営業」規制をめぐる問題点
1.「特定遊興営業」規制をめぐる混乱
2.「特定遊興営業」とダンス
3.「客に遊興をさせる」ことに「客にダンスをさせる」ことを含むこと
4.「特定遊興飲食店」営業の地域をめぐる問題
おわりに

強姦罪における「被害者資格」問題と「経験則」の再検討小宮友根
  はじめに
U 「被害者資格」の問題とその批判
1.被害者資格問題
2.「被害者資格」問題への批判
V 経験則の身分と推論におけるその役割
1.経験則の身分
2.当座のアプリオリ
3.強姦裁判における経験則批判の問題点
W 事案の検討
1.事案の概要
2.被害者証言と裁判所の見解
3.経験則による被害者供述の構造化
4.「ありえた理解」の排除
 おわりに


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