表現の自由T 表現の自由T−状況へ
駒村圭吾鈴木秀美 編著
A5判上製本 598頁
ISBN978-4-86031-086-8
価格本体5500円+税
発刊2011年5月

内容
 表現の自由に関する議論の蓄積には膨大なものがある。それを支える原理もまたその実践も多様で今も昔も暗中模索の様相を呈している。新世紀を迎え情報空間のありかたも旧態とは様相を大きく異にするに至った。かかる状況で表現の自由を支える原理の普遍性をいかに語ってゆくべきだろうか。またそれはいかに実務の最前線で語られるべきなのだろうか。本企画は表現の自由を支える基本概念や基本原理を時代状況を見据えた上で再度定式化するとともに実務に携わる表現者あるいは実務に関心を持つ研究者にとってそれがどのような指針となりうるのかを問うものであり全体として両者の相互応答を企図するものである。(駒村圭吾「『表現の自由T−状況へ』・『表現の自由U−状況から』の刊行にあたって」〔本書@頁〕より)
 表現の自由をとりまく環境は時々刻々と変化し,表現の自由自体も変貌を遂げ,裾野を広げる。表現の自由に関する議論を,時間的・空間的に変化し続ける「状況」の内と外から,改めて捉え直すことを試みた企画。第T巻では表現の自由の「理論」の最先端を行く研究者達が,代表的な基本概念・理論的課題の解明により「現場」の状況へと語りかける。(→第U巻詳細ページへ

目次
多様性の再生産と準拠枠構築
   ――情報空間における「自由の論理」と「統治の論理」
駒村圭吾
自己統治
   ――言論の自由の「価値」と「法理」の架橋についての一試論
奈須祐治
表現空間の設計構想(アメリカ)
   ――思想の自由市場という思想の自由市場
金井光生
表現空間の設計構想(ドイツ)
   ――公論形成に貢献する自由と民主的公共性
宍戸常寿
表現空間の設計構想(フランス)
   ――思想・意見の多元性原理をめぐって
曽我部真裕
表現の事前抑制と検閲
   ――表現の自由の源流、そしてその擁護のために
川岸令和
パブリック・フォーラム中林暁生
象徴的言論
   ――象徴への態度が示すもの
森脇敦史
取材・報道の自由
   ――報道関係者の証言拒否権を中心に
鈴木秀美
部分規制論西土彰一郎
「コード」小倉一志
「品格ある社会」と表現平地秀哉
文化への助成と表現の自由横大道聡
国家による芸術支援と憲法杉原周治
政府の言論の法理蟻川恒正
アメリカにおけるヘイトスピーチ規制小谷順子
ドイツにおけるヘイト・スピーチ規制上村 都
表現の自由とマルチカルチュラリズム志田陽子
表現の自由のプラグマティズム山本龍彦
表現の自由の「優越的地位」論と厳格審査の行方阪口正二郎

著者紹介(データは発刊当時)
駒村圭吾 (こまむら けいご)
慶應義塾大学法学部・同大学院法務研究科教授
奈須祐治 (なす ゆうじ)
佐賀大学経済学部准教授
金井光生 (かない みつお)
福島大学行政政策学類准教授
宍戸常寿 (ししど じょうじ)
東京大学大学院法学政治学研究科准教授
曽我部真裕 (そがべ まさひろ)
京都大学大学院法学研究科准教授
川岸令和 (かわぎし のりかず)
早稲田大学政治経済学術院教授
中林暁生 (なかばやし あきお)
東北大学大学院法学研究科准教授
森脇敦史 (もりわき あつし)
福岡県立大学人間社会学部准教授
鈴木秀美 (すずき ひでみ)
大阪大学大学院高等司法研究科教授
西土彰一郎 (にしど しょういちろう)
成城大学法学部准教授
小倉一志 (おぐら かずし)
小樽商科大学商学部企業法学科准教授
平地秀哉 (ひらち しゅうや)
國學院大學法学部准教授
横大道聡 (よこだいどう さとし)
鹿児島大学教育学部准教授
杉原周治 (すぎはら しゅうじ)
愛知県立大学外国語学部准教授
蟻川恒正 (ありかわ つねまさ)
憲法研究者
小谷順子 (こたに じゅんこ)
静岡大学人文学部准教授
上村 都 (うえむら みやこ)
新潟大学法学部准教授
志田陽子 (しだ ようこ)
武蔵野美術大学造形学部教授
山本龍彦 (やまもと たつひこ)
慶應義塾大学大学院法務研究科准教授
阪口正二郎 (さかぐち しょうじろう)
一橋大学大学院法学研究科教授


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