公衆衛生と人権 | |||
−フランスと日本の経験を踏まえた法的検討 | |||
磯部哲/河嶋春菜/ギヨーム・ルセ/フィリップ・ペドロ 編 | |||
A5判 318頁 | |||
ISBN | 978-4-86031-183-4 | ||
価格 | 本体6000円+税 | ||
発刊 | 2024年3月 |
内容 フランスと日本は,計り知れないほど難解な財政的緊張や社会経済的課題──たとえば,高齢化,経済危機,治療と予防のバランス,感染症対策,監視社会,新たなリスクの浮上など──に連動して,医療制度が大きく変わろうとしている。COVID-19は前例のない感染症であるが,それによって生じた健康危機は,もともと存在していたこれらの課題を悪化させ,国家レベルでも世界レベルでも,包括的な視点で健康に関する問題を捉え検討する必要を私たちに突き付けている。 この健康危機の全容を把握するため,それによって影響を受けたと考えられる幅広いテーマに関し,多様な分野と大学から研究者を結集し研究チームが編成され,大学コンソーシアムともいうべき共同研究体制をつくり2年以上にわたり,定期的な意見交換,さらに2022年9月にパリ第2パンテオン=アサス大学およびリヨン第3大学,同年12月に慶應義塾大学,2023年6月に東北大学において,シンポジウムが開催された。これらの研究成果をまとめ,上梓する。 |
フランス語版 |
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Concilier sante et droits fondamentaux en periode de pandemie : Une analyse juridique des experiences de la France et du Japon
(Sous la coordination de Guillaume Rousset, Philippe Pédrot, Tetsu Isobe et Haluna Kawashima. BRUYLANT, 2024) |
目次 |
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はじめに | |||
序文 | イザベル・ポワロ= マゼール | ||
序文 | 山口斉昭 | ||
INTRODUCTION ──本研究プロジェクトについて | |||
特別寄稿 | |||
日本の法規範,神話と現実の狭間で | ベアトリス・ジャルゾ | ||
1 衛生危機のガバナンス | |||
フランスにおける衛生危機のガバナンス −次第に統制される執行府のヘゲモニー | ティエリーS. ルヌー | ||
衛生危機におけるリスク管理 −日本法からの視点 | 小島慎司 | ||
2 コロナ下の人権保障 | |||
フランスにおける基本権保護 −人の権利と公衆衛生の最適な均衡とは | ティエリーS. ルヌー | ||
日本における基本権保護 −個人情報及びプライバシーの保護を例として | 曽我部真裕 | ||
3 コロナ対策と専門家 | |||
フランスにおける科学的専門性 −急速に発展する実践 | ジャン= マリー・ポンティエ | ||
緊急下ないし科学的不確実性下における政策形成と専門家 | 小川有希子 | ||
4 コロナ予防接種 | |||
フランスにおける予防接種政策 −光と影 | フィリップ・ペドロ | ||
日本における予防接種政策 −自主性の尊重の刷新へ? | 河嶋春菜 | ||
5 コロナ対策と国地方関係 | |||
フランスにおける国地方関係 −差異化をいかに位置づけるべきか | ヴィルジニ・ドニエ | ||
日本における国地方関係 −曖昧な“強制” から自治の深化へ | 飯島淳子 | ||
6 コロナと社会保障 | |||
フランスにおける脆弱な人々 −ホームレスと高齢者を例として | ミシェル・ボルジェット | ||
日本における脆弱な人々と社会保障 −非正規労働者からフリーランスへ | 笠木映里/ 嵩さやか | ||
7 コロナと医療機関財政 | |||
フランスの医療機関の資金調達 −断絶と継続 | ブノワ・アポリス | ||
日本の医療機関の資金調達 −診療報酬の特例的引き上げ,緊急補助金,そして借入 | 尾玉剛士 | ||
8 コロナと医プロフェッション | |||
フランスにおける医プロフェッションの職域 −多様性と不確実性 | ギヨーム・ルセ | ||
医療従事者の職域 −連携の確保に向けた法的仕組み | 磯部哲 | ||
9 コロナと妊娠・出産 | |||
フランスにおける妊娠 −健康保護と女性の意思尊重の間で | マリオン・ジレ | ||
日本における妊娠 −周産期ケアと女性の経験への影響 | 小門穂 | ||
10 コロナと医療アクセスの継続性 | |||
「トリアージ」で試されるフランスの医療へのアクセス −倫理と法律,平等と公正のはざまで | フランソワ・ヴィアラ | ||
フランスにおける終末期 −終末期の権利から生命の終わりへの権利へ | ティエリーS. ルヌー | ||
11 コロナと葬送 | |||
フランスにおける葬送 −弔いの尊重と公衆衛生 | ギヨーム・ルセ | ||
日本における葬送 −曖昧な感染防止政策 | 田近肇 |
著者紹介(掲載順。肩書きは2024年3月31日現在) |
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磯部哲(Tetsu Isobe) | ||
慶應義塾大学大学院法務研究科教授,東京医科歯科大学客員教授 | ||
河嶋春菜(Haluna Kawashima) | ||
東北福祉大学総合福祉学部准教授 | ||
ギヨーム・ルセ(Guillaume Rousset) | ||
ジャン・ムーラン リヨン第3大学(IFROSS/CRDMS)准教授 | ||
フィリップ・ペドロ(Philippe Pédrot) | ||
トゥーロン大学法学部(IET)教授 | ||
イザベル・ポワロ=マゼール(Isabelle Poirot-Mazères) | ||
トゥールーズ第1キャピトル大学法学部教授,フランス医事法学会会長 | ||
山口斉昭(Nariaki Yamaguchi) | ||
早稲田大学法学部教授,日本医事法学会代表理事 | ||
ベアトリス・ジャルゾ(Béatrice Jaluzot) | ||
リヨン政治学院准教授,東アジア研究所所長 | ||
ティエリー S. ルヌー(Thierry S. Renoux) | ||
エクス=マルセイユ大学名誉教授 | ||
小島慎司(Shinji Kojima) | ||
東京大学大学院法学政治学研究科教授 | ||
曽我部真裕(Masahiro Sogabe) | ||
京都大学大学院法学研究科教授 | ||
ジャン=マリー・ポンティエ(Jean-Marie Pontier) | ||
エクス=マルセイユ大学名誉教授 | ||
小川有希子(Yukiko Ogawa) | ||
帝京大学法学部助教 | ||
ヴィルジニ・ドニエ(Virginie Donier) | ||
トゥーロン大学法学部教授 | ||
飯島淳子(Junko Iijima) | ||
東北大学大学院法学研究科教授 | ||
ミシェル・ボルジェット(Michel Borgetto) | ||
パリ・パンテオン・アサス大学名誉教授 | ||
笠木映里(Eri Kasagi) | ||
東京大学大学院法学政治学研究科教授 | ||
嵩さやか(Sayaka Dake) | ||
東北大学大学院法学研究科教授 | ||
ブノワ・アポリス(Benoît Apollis) | ||
パリ・パンテオン・アサス大学准教授 | ||
尾玉剛士(Takaaki Odama) | ||
獨協大学外国語学部准教授 | ||
マリオン・ジレ(Marion Girer) | ||
ジャン・ムーラン リヨン第3大学法学部(CRDMS)准教授 | ||
小門穂(Minori Kokado) | ||
大阪大学大学院人文学研究科准教授 | ||
フランソワ・ヴィアラ(François Vialla) | ||
モンペリエ大学法学部教授 | ||
田近肇(Hajime Tajika) | ||
近畿大学法学部教授 | ||