現代アメリカの司法と憲法 現代アメリカの司法と憲法
−理論的対話の試み
小谷順子新井誠山本龍彦葛西まゆこ大林啓吾
A5判上製本 374頁
ISBN978-4-86031-098-1
価格本体6500円+税
発刊2013年1月

内容
 アメリカ社会における司法と憲法の役割は大きく,アメリカ憲法学では伝統的に両者の関係について,活発に論じられてきた。そして,従来,アメリカ国内で議論が完結していたアメリカの憲法学は今日,比較法的視点を取り入れたものへと変容しつつある。
 本書は,こうした状況をふまえ,一方の論者が現代アメリカの司法と憲法をめぐる諸論点を論ずる「本論」に,他の論者が他国の憲法理論の視点から,あるいは同じアメリカの別の角度からの議論を分析の道具とする「対論」を示し,「対話」を試みる挑戦的な企画である。

目次
1.連邦最高裁と表現の自由
連邦最高裁における法廷意見の形成過程小谷順子
−憎悪表現規制に関するR.A.V. v. City of St. Paul事件判決
Mode of Speech駒村圭吾
−R.A.V. v. City of St. Paul 事件判決におけるスカリア法廷意見の可能性
2.表現の自由と制度
プレスの自由と制度小林伸一
ヨーロッパ人権裁判所判例を通してみた「表現の自由と制度」の一断面曽我部真裕
3.情報の流通と表現の自由
「囚われの聴衆」についての一考察横大道聡
−A Reflection on “Captive Audience”
憲法上の権利としての消極的情報の自由上村都
4.結社の自由
州立大学における平等加入方針と結社の自由岡田順太
結社の自由論の諸相井上武史
−アメリカとフランス,そして日本へ
5.社会法と司法
「福祉国家」と憲法解釈葛西まゆこ
−アメリカおける医療保険改革をめぐる論争を手がかりに
「社会国家」と憲法解釈小山剛
6.議会と裁判所の憲法解釈
議会と裁判所の憲法解釈をめぐる一考察新井誠
「議会と裁判所の憲法解釈」について岩切大地
−イギリス人権法からの検討
7.憲法判断の先例拘束性
先例拘束の再定位大林啓吾
−憲法先例の生成と発展
先例拘束性と司法の権力溜箭将之
補論−summary and comment大林啓吾・溜箭将之
8.弾劾制度
アメリカ合衆国における弾劾されるべき罪の意義について柳瀬昇
イギリスにおける裁判官の弾劾と規律上田健介
9.グローバリズムと司法
憲法訴訟における外国法参照の作法山本龍彦
−外国法の「普段づかい」?
グローバル化世界と人権法源論の展開山元一

著者紹介(掲載順。肩書きは発刊当時)
小谷順子
静岡大学人文社会科学部准教授
駒村圭吾
慶應義塾大学法学部教授・同大学院法務研究科教授
小林伸一
清和大学法学部准教授
曽我部真裕
京都大学大学院法学研究科准教授
横大道聡
鹿児島大学教育学部准教授
上村都
新潟大学法学部准教授
岡田順太
白鴎大学法学部准教授
井上武史
岡山大学法学部准教授
葛西まゆこ
東北学院大学法学部准教授
小山剛
慶應義塾大学法学部教授
新井誠
広島大学大学院法務研究科教授
岩切大地
立正大学法学部准教授
大林啓吾
千葉大学大学院専門法務研究科准教授
溜箭将之
立教大学法学部准教授
柳瀬昇
駒澤大学法学部准教授
上田健介
近畿大学大学院法務研究科教授
山本龍彦
慶應義塾大学大学院法務研究科准教授
山元一
慶應義塾大学大学院法務研究科教授


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