ポジティブ教育心理学 | |||
古川真人 著 | |||
B5判 180頁 | |||
ISBN | 978-4-86031-092-9 | ||
定価 | 本体2400円+税 | ||
発刊 | 2012年4月 | ||
内容 21世紀の教育における最大の問題は無気力の克服である。我が国の青年層を対象として「将来自分の生活は今よりよくなりますか」と問うと,よくなると回答する比率は約30 %程度であり,他国に比べ(アメリカ,フランス,韓国)かなり低いレベルに位置している。また,ここ十数年,自殺者は3万人を超え,先進諸国の中でも群を抜いている。 なぜ意欲が希薄化したのか,なぜ元気がなくなるのかについては,心理学はかなり説明ができるようになってきた。誰もが無気力になり得る可能性を秘めている現代社会において,どうすれば元気が出せるかについては,その重要性にもかかわらず,まだ実証的研究があまりにも少なすぎる。 マーチン・セリグマンが,ポジティブ心理学を提唱してから早十数年余が経とうとしている。従来の心理学が反社会的行動や非社会的行動に過度に集中し,しかも悪くなった状態をなんとかもとの状態に戻すことにエネルギーを費やしたのに対し,ポジティブ心理学は圧倒的大多数の普通の人を対象に,現在よりもさらによくなるためにはどうすればよいかについての研究に関心を移すように提案したことが最大の特徴である。本書は,この視点をもって4つの章「発達と教育」「学習と動機づけ」「楽観主義と自己制御」「個に応じた教育」を建て,新たに教育の領域に踏み込もうと試みたものである。――はしがきより一部改 |
目次 |
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T.発達と教育 | |||
1.行動の決定因 | |||
1.主観的なこころ | |||
2.目は心の窓 | |||
2.主体的存在 | |||
1.感覚遮断 | |||
2.新生児・乳児の感覚世界 | |||
3.視覚的選好 | |||
3.初期経験(早教育) | |||
1.フロイトの精神分析理論 | |||
2.母性遮断 | |||
3.動物行動学 | |||
4.成熟優位と学習優位 | |||
4.レジリエンスとハーディネス | |||
1.レジリエンス | |||
2.ハーディネス | |||
3.ヒューマン・ストレングス | |||
U.学習と動機づけ | |||
1.外発的動機づけと内発的動機づけ | |||
1.動機づけとは | |||
2.称賛と叱責の効果 | |||
3.自己強化 | |||
4.社会的比較 | |||
5.知的好奇心 | |||
2.自己決定と達成目標理論 | |||
1.自己決定と目標 | |||
2.自己決定理論 | |||
3.達成動機づけ理論 | |||
4.達成目標理論 | |||
3.学習性無力感 | |||
1.学習性無力感とは | |||
2.統制不可能性と非随伴性 | |||
3.改訂学習性無力感理論 | |||
4.抑うつの認知的素因 - ストレスモデル | |||
5.抑うつの絶望感理論 | |||
6.再帰属法 | |||
7.反応スタイルと自己没入 | |||
V.楽観主義と自己制御 | |||
1.ポジティブ・イルージョン | |||
1.自分自身をポジティブに捉える | |||
2.非現実的楽観主義 | |||
3.統制のイルージョン | |||
4.自己の文化差 | |||
5.抑うつリアリズム | |||
2.楽観主義と希望 | |||
1.素質的楽観主義 | |||
2.楽観主義の歴史的流れ | |||
3.楽観主義と健康 | |||
4.防衛的悲観主義と方略的楽観主義 | |||
5.自己効力感と希望 | |||
6.ポジティブ感情 | |||
3.自己制御と目標 | |||
1.自己制御 | |||
2.自己制御の個人差 | |||
3.制御理論 | |||
4.目標葛藤 | |||
W.個に応じた教育 | |||
1.教授学習課程理論 | |||
1.発見学習 | |||
2.プログラム学習 | |||
3.有意味受容学習 | |||
4.小集団学習 | |||
5.オープンスクール | |||
6.適性処遇交互作用 | |||
7.完全習得学習 | |||
8.自己教育力・自己調整学習 | |||
9.教師 - 生徒関係 |
著者紹介(データは発刊当時) |
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古川 真人(ふるかわ まさと) | |||
1978年 | 東北大学大学院博士後期課程心理学専攻修了 | ||
現職 | 昭和女子大学大学院生活機構研究科心理学専攻教授 |