憲法における家族憲法における家族
―親の人権と子どもの人権
古野豊秋
A5判上製本 246頁
ISBN978-4-86031-079-0
価格本体5500円+税
発刊2010年6月

内容
 日本国憲法における「家族」については,憲法の制定者を含め,これまで,一般に夫婦における男女の平等の問題に関心が置かれてきたが,夫婦間に生まれた子どもと親の関係にも同様に注意を払うべきとの筆者の問題意識からの研究を,纏めたもの。
 ドイツ・オーストリアの判例や学説により示された,親子の関係,またその調整・監視役としての国家の役割についての思考を丹念に読み解き,日本の憲法学への参考を得る。

目次
第1章 親の子どもに対する宗教教育の問題
第1節 ドイツの場合
「エホバの証人」事件に関する判例/憲法上の論点
第2節 オーストリアの場合
ヨハネス・メスナーの見解/「サイエントロギー事件」に関する判例/親の信教の自由と宗教教育/子どもの基本権適齢と宗教適齢/子どもに対する親の宗教教育と子どもの権利
第3節 小括
ドイツとオーストリアの場合の異同/ドイツの場合においてわが国での問題に参考となる点
第2章 親の離婚後における子どもの世話の問題
第1節 ドイツの場合
「夫婦財産契約」事件に関する連邦憲法裁判所の判決/本判決の位置付け
第2節 オーストリアの場合
単独の「世話権」に関する憲法裁判所の判例/単独の「世話権」の帰属について/共同の世話に関する立法史
付記
第3章 E.-W.ベッケンフェルデの所論
第1節 問題の所在――少年刑事手続に関する連邦憲法裁判所の判決
事実の概要/判旨/理由/本判決とベッケンフェルデの所論
第2節 Essener Gesprächeにおけるベッケンフェルデの報告内容と質疑・応答
報告のテーマとテーゼ/主なテーゼについての説明と質疑応答/小括――議論における基本的な対立点
第3節 ベッケンフェルデの所論に対する若干の検討
ドイツにおける実践的意義/ドイツにおける学説上の意義ベッケンフェルデの所論の国法理論上の背景
第4節 むすび
ベッケンフェルデの所論のわが国における意義/今後の検討課題
付録
T 国籍法事件
U 両親による子どもの争奪と子どもの福祉
V 複合氏事件
W 「仮の親」事件
X インチェ事件

著者紹介(データは発刊当時)
古野豊秋 (ふるの・とよあき)
1943年福岡県に生まれる。
1967年中央大学法学部卒業
1974年中央大学大学院法学研究科修士課程修了
現在,桐蔭横浜大学法科大学院教授,法学博士,弁護士


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