アメリカ憲法の群像−理論家編アメリカ憲法の群像−理論家編
駒村圭吾山本龍彦大林啓吾
A5判 318頁
ISBN978-4-86031-073-8
価格本体4000円+税
発刊2010年1月

内容
 戦後日本の憲法学において多く参照されてきたアメリカ憲法学。その議論のめざましい発展は,さまざまな学者の特徴的な理論により支えられてきた。彼らの憲法理論をエピソード・人となりを交えつつ紹介,現代アメリカ憲法理論の実像を浮かび上がらせることを試みる。
 若手アメリカ憲法学者による研究会,「アメリカ憲法研究会」による研究成果。

目次
1 チャールズ・ブラック
    象徴的Constitutional Lawyerの栄枯
駒村圭吾
T 運命のSoutherner
U “All Deliberate Speed”――Brown & Black
V Brown判決とともに生きる――A Poetic Advocateの理論体系
W Decision According to Law
X サッチモへ還る
2 アレクサンダー・ビッケル
    アメリカの立憲構造を明らかにした夭折の天才
大林啓吾
T 序
U ビッケルの論理構成
V ビッケル理論の難点?
W ビッケル理論の位置づけ――ミニマリズムの系譜として
X 後序
3 ジョン・ハート・イリィ
    プロセス理論――実体的価値との距離
葛西まゆこ
T はじめに
U 『民主主義と不信(Democracy and Distrust)』におけるプロセス理論の提示
V 「プロセス」重視を貫徹することの限界――「開かれた構造」の皮肉
4 ローレンス・H・トライブ
    “No Theory”という名の“Grand Theory”
平地秀哉
T はじめに
U トライブの憲法観
V 船出――憲法解釈の枠組
W 海図――構造的解釈
X 航路――構造的解釈の帰結
Y 結びにかえて――終わりなき航海?
5 フレデリック・シャウアー
    合衆国憲法解釈におけるルールの意義
奈須祐治
T 序
U ルール
V 法
W 裁判所の役割と機能
X 憲法の本質
Y 言論の自由の構造
Z むすび
6 リチャード・H・ファロン
    憲法理論・憲法解釈・司法審査
尾形 健
T はじめに
U 憲法理論の諸相
V 裁判所による憲法解釈の意義
W 司法審査の意義
X ファロン理論の地位――むすびにかえて
7 ブルース・アッカーマン
    We the Peopleの高次法形成とアメリカ合衆国憲法の変動
大江一平
T 法哲学者・憲法学者としてのアッカーマン
U 二元的民主政理論の概要
V 二元的民主政理論への批判
W 二元的民主政理論の意義と日本の議論への示唆
8 マーク・タシュネット
    批判法学最後の雄?
大河内美紀
T タシュネットと批判法学
U タシュネットの描く「憲法」
V 学界からの批判的コメント
W タシュネットはどこへ向かうのか
9 サンフォード・レヴィンソン
    合衆国市民にとっての憲法の意味の探求者
中川 律
T はじめに
U 憲法への信仰――信仰共同体としての合衆国
V 外部観察者と内部参加者――レヴィンソンが抱える双面性
W おわりに
10 リチャード・ポズナー
    境界の魔術師
山本龍彦
T はじめに
U アメリカにおけるプラグマティズム・ルネッサンス
V ポズナーのプラグマティズム
W 敵対者たち
X 結語に代えて
11 キャス・サンスティン
    リスクと不確実性の憲法学
森脇敦史
T 自由主義的共和主義と熟議民主政――サンスティンの基本構想
U 熟議の可能性とその限界
V 集団内の熟議メカニズム――「熟議による問題」
W 熟議に参加する個人と合理性の限界
X 検討
Y 結びにかえて
12 ジェド・ルーベンフェルド
    憲法思想の新たな時代の幕開け?
横大道 聡
T はじめに
U 憲法と失われた時間
V 憲法の中に時間を取り戻す
W コミットメントの憲法解釈
X パラダイム・ケース解釈の具体的適用
Y 若干の検討
Z おわりに

著者紹介(執筆章順。肩書きは発刊当時)
駒村圭吾
慶應義塾大学法学部・大学院法務研究科教授
大林啓吾
帝京大学法学部専任講師
葛西まゆこ
大東文化大学法学部准教授
平地秀哉
國學院大學法学部准教授
奈須祐治
佐賀大学経済学部准教授
尾形健
同志社大学法学部教授
大江一平
東海大学総合教育センター専任講師
大河内美紀
名古屋大学大学院法学研究科准教授
中川律
明治大学大学院法学研究科博士後期課程
山本龍彦
桐蔭横浜大学法学部准教授
森脇敦史
福岡県立大学人間社会学部准教授
横大道聡
鹿児島大学教育学部准教授
special thanks:奥平康弘先生(カバーコメント)



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