憲法国家の実現憲法国家の実現
―保障・安全・共生―
石村修 著
A5判上製本 336頁
ISBN978-4-86031-041-1 (4-86031-041-1)
価格本体6500円+税
発刊2006年9月
洋題Die Verwirklichung des "Verfassungsstaates"
Schutz, Sicherheit und Symbiose von Verfassung

内容
 今日の「国家の変動」を,『憲法国家』と『憲法保障』をキーワードに,警察・有事法制・欧州統一を素材として検討する研究書。
 日本では"Verfassungsstaat"の語に対し,「立憲国家」の語が当てられる一方,ドイツを含む欧州では「憲法により国家が形成される」という意味合いが強い。こうした観点に立つと,「憲法保障」とは国家保障ではなく「国法秩序の基礎を構成する実質的な憲法を保障すること」にある。その実態・機能・変容の研究により,憲法とは何か,国家とは何かという問いを追究する。

目次
序章憲法保障の理念と制度 Die Idee und Institution des Verfassungsschutzes
憲法保障の課題
憲法規範の最高法規性と憲法忠誠
憲法の安定と変動
非常時における憲法保障(1)―国家緊急権
非常時における憲法保障(2)―抵抗権
第1章憲法規範の運用 Die Verfassung als Oberstes Gesetz
最高の意味するところ
根本規範の内容と機能
最高法規とその運用
日本国憲法第10章の最高性
第2章憲法編成の意義と性格 Der Verfassungswandlung, ihre Bedeutung und Charakter
憲法変遷が生ずる場合
憲法解釈と枠
憲法変遷の実例と条件
学説の整理と展望
第3章今日の憲法国家における国家目的 Der Staatszweck im modernen Verfassungsstaat
「国家論」からの決別と憲法の時代
国家目的論と他の概念の関係
国家目的論と憲法パトリオティズム
国家目的論の再興
国家目的論の効用
第4章統一後のドイツの憲法保障 Der Verfassungsschutz nach der deutscher Wiedervereinigung
憲法状況の推移
憲法保障の意味
憲法保障と警察
情報交換とその問題点
組織犯罪対策
第5章今日の公安警察に対する憲法的評価 Die Konstitutionelleschaetzung zur Sicherheitspolizei
国家保障と警察
警察の二面性
戦前と戦後を繋ぐもの
歴史的変化
公安警察の理念
市民警察との接点
第6章公安警察とその非常事態権限 Die Notsbefuegnisse nach Sicherheitspolizei
公安警察機構
非常事態と公安警察
危機管理と非常事態
第7章国家目的と警察 Die Beziehung zwischen Staatszweck und Polizei
法治国家における警察
憲法保障と警察
警察権限の制限
第8章ドイツにおける国家緊急権と有事法制 Das Staatsnotsrecht im Ausnahmezustand
ドイツの戦後政策
ドイツ基本法における「有事」
冷戦後の対外的な対応
第9章EU「憲法」草案の誕生とその法的性格―ドイツ憲法学から概観する Die Schaffung des Vertragsentwurf der Verfassung fuer Europa und seine rechtliche Bedeutung
EU「憲法」草案
憲法裁判における留保
憲法と国家の関係
憲法の時代の復権
小括
第10章欧州(EU)憲法条約における「連帯」概念 Solidaritaetsbegriff im Verfassungsentwurf der Verfassungs fuer Europa
憲法制定と連帯
連帯概念の基礎
憲法(史)の中の連帯
社会国家と連帯
法治国家と連帯
終章本書の総括にかえて Schlussbemerkung
ドイツと日本の憲法
憲法保障の実態
憲法保障の変容
安全と自由の相克
欧州憲法の制定(共生)

著者紹介(データは発刊当時)
石村修 (いしむら おさむ)
1946年 栃木県佐野市に生まれる。
1973年 中央大学大学院法学研究科修士課程終了
1978年 専修大学大学院法学研究科博士課程単位取得
   専修大学法学部助手,教授を経て
現在 専修大学法科大学院教授,法学博士(専修大学)


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