基本権の内容形成 | |||||
―立法による憲法価値の実現 | |||||
小山剛 著 | |||||
A5判 336頁 | |||||
ISBN | 978-4-86031-025-7 (4-86031-025-X) | ||||
価格 | 本体4000円+税 | ||||
発刊 | 2004年11月 | ||||
洋題 | Die Ausgestaltung der Grundrechte Zur Verwirklichung der Verfassungsvorgaben durch Gesetzesrecht |
内容 基本権の法律依存性が説かれてきた。財産権や生存権,さらに国家の基本権保護義務は,その実現に際し立法者による具体化や法的インフラの整備を必要とする。この場合にも,基本権は単に法律に依存するのではなく,同時に立法に対する規準として,立法を拘束する。この拘束につき,従来の学説は,制度的保障論や抽象的権利説などの解釈論を孤立した形で展開し,それら相互の関係に目を向けずにきた。本書は,基本権を根拠とした国家の種々の作為義務につき,基本権の客観法的保障という視点から統合的な再検討を試みる。 |
目次 |
||||
序章 | ||||
一 | 基本権の自立性と法律依存性 | |||
二 | 日本における学説の支配的動向 | |||
三 | 「内容形成」ドグマーティクの必要 | |||
四 | 本書の構成 | |||
第一章 | 基本権と法律の親和性 | |||
一 | はじめに | |||
二 | 解釈問題としての親和的関係 | |||
三 | 峻別思考と非分別思考 | |||
四 | 「基本権理論」 | |||
五 | 非峻別・分別思考の可能性―むすびにかえて | |||
第二章 | 制度的基本権理論 | |||
一 | 制度としての基本権 | |||
二 | 制度的基本権理論における「自由」 | |||
三 | 制度的基本権理論の問題点 | |||
四 | むすびにかえて | |||
第三章 | 防御権および客観法としての基本権 | |||
一 | 基本権の出発点 | |||
二 | 防御権の基本構造 | |||
三 | 基本権の客観法的内容 | |||
四 | 基本権の二重の性格と基本権内容形成論 | |||
第四章 | 基本権内容形成の概念と類型 | |||
一 | はじめに | |||
二 | 基本権の制限と内容形成 | |||
三 | 基本権の規範的構成と具体化 | |||
四 | 基本権の規範的輪郭付与 | |||
五 | 規範による輪郭付与と制限 | |||
六 | 規範的構成と具体化の距離―むすびにかえて | |||
補論 | 私的自治の内容形成 | |||
一 | 自己決定権としての私的自治 | |||
二 | 私的自治と内容形成 | |||
三 | 内容形成に対する憲法上の規準 | |||
四 | 私的自治と基本権保護義務 | |||
五 | むすびにかえて | |||
第五章 | 財産権の保護 | |||
一 | 憲法による財産権保障の意味 | |||
二 | 「未知なるものを伴った基本権」 | |||
三 | 既得権保障または現状保障としての財産権保障 | |||
四 | 憲法自立的な財産権概念 | |||
五 | 財産権の客観法的保障 | |||
六 | 財産権の拘束性と可塑性 | |||
補論 | 判例の傾向と洋語の問題 | |||
第六章 | 基本権保護義務の具体化 | |||
一 | はじめに | |||
二 | 国家の基本権保護義務 | |||
三 | 立法の指針としての保護義務 | |||
四 | 憲法裁判所による統制 | |||
五 | なぜ「明白性」か | |||
補論 | 基本権保護義務の「核心領域」と「周辺領域」 | |||
第七章 | 国家目標規定 | |||
一 | はじめに | |||
二 | 国家目標規定 | |||
三 | 生存権、基本権の客観法的内容と国家目標規定 | |||
四 | 国家目標規定の具体化と実現 | |||
五 | 国家目標規定論の意義 | |||
終章 | ||||
一 | 基本権内容形成論の必要 | |||
二 | 基本権理論上の前提 | |||
三 | 基本権の内容形成 | |||
四 | 日本国憲法への示唆と残された課題 |
著者紹介(データは発刊当時) |
||||
小山 剛 (こやま ごう) | ||||
1960年東京に生まれる。 | ||||
1990年慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学 | ||||
愛知県立女子短期大学講師,名城大学法学部助教授,慶應義塾大学法学部助教授などを経て | ||||
2004年より慶應義塾大学法学部教授・大学院法務研究科教授 |